木漏れ陽の中に
のんびり木陰で読書ができればそれだけで幸せです
1-1 海の見える家
木々の間から木漏れ日がきらきらと輝いている。清里崇は坂の頂上を見上げていた。
坂道の両側には桜の木々が頂上まで続いている。坂の三割ほど歩いたところで、清里は立ち止まりスラックスの後ろポケットからハンカチを取り出し、うっすらと汗がにじんだ額をぬぐった。その時だった、母親に手を引かれこの坂道を歩いたことを思い出した。
「あの日も暑かったな」清里の唇から吐息のように漏れた。
あれから28年の月日が流れ、すでに母親と同じ年になった。妹の由紀子はやっと独り立ちが出来るぐらいの乳飲み子で、母親の背におんぶされ肩に頭をもたれかけ寝ていた。
清里は振り返り、坂道の途中で遠い過去を思い出そうと桜の並木の入り口付近に視線をやり、そして静かに目を瞑った。

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1-2 海の見える家
祖母は静かに母の正面の椅子に腰掛けた。
そして、祖母は融けかけた氷が入ったグラスに白乳色の液体を、ガラスの水差しから注いだ。
銀色のコースタの上にあるグラスが、とてもキラキラ輝いていて俺もそれが飲みたくてたまらなかった。
祖母は新しいグラスにガラスの水差しから注ぎ、俺の前にも差し出した。
俺は母の顔を覗き込み、
「おかあさん、のんでもいいの」と聞いた。
母はうなずき、
「これは、とても美味しいわよ」
俺はグラスを両手でしっかり持って、少しだけグラスを口につけ舌先でちょこっと舐めてみた。
初めてだった、甘くて今まで口にしたことのない味だった。
それが、俺が始めてカルピスを口にしたときである。
それから、一気に口の中へ流し込んだ。

・・・今日はここまでです。

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