木漏れ陽の中に
のんびり木陰で読書ができればそれだけで幸せです
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FC2Blog Rankingどうせ夢見るなら、総合トップを目指せ! そんなアホに愛の手を
ちぃちゃん遊ぼう(8)
プルル~、プルル~、プルル~。
電話の呼び出し音が鳴っています。夫からの電話でしょう。
私はリビングから玄関先に置いてある電話機のほうへと向かいました。
私は受話器を取り、「はい、岩下でございます」
「こちらは、緑ヶ丘署の橋本と言います」
「・・・はい、岩下ですが、何かあったのでしょうか?」
「岩下和之さんの奥様はいらっしゃいますか」
「私が妻の千鶴ですけど・・・」
「旦那さんが、駅前で交通事故に遭われまして、緑ヶ丘総合病院に搬送されたところです」
「夫の怪我の具合はどうなんでしょうか?」
「私も旦那さんの鞄からご自宅の電話番号を調べおかけした次第で、ご容態は存じておりません」
「どうも、ありがとうございます、これから直ぐに病院へ向かいます」
私は電話を切ってから、すぐに出かける支度をしました。
「あの予言が当たるのかしら・・・、そんな事はないわ、和之さんの怪我は大した事ないわ」
私は自分に言い聞かせるように、不安ながらも夫の怪我はそれほどでも無いと思う事にしました。

続く・・・
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ちぃちゃん遊ぼう(9)
私は玄関の戸締りをきちんと確かめて、駐車場への緩やかなスロープを下り、私の軽自動車のドアを開け乗り込みました。
私は軽自動車の中で、和之さんがいつも出張で使う旅行鞄を開けて、和之さんの下着とジャージ、洗面用具一式の入ったポシェット、私の財布の中の健康保険のカードを確かめました。
大丈夫、忘れ物はなさそうです。
それから、すばやくエンジンをかけ、緑ヶ丘総合病院へ向かいました。
病院に着くまでの道のりで信号待ちをしていると、私の大好きな和之さんの笑顔が過ぎりました。
ふと涙があふれ出てきて、頬から一滴流れ落ちました。
「泣いてちゃ駄目、きっと和之さんは元気でいてくれるわ、いつものように『千鶴、ごめん、また怪我しちゃった』と、無邪気な子供のようなあの笑顔で迎えてくれるわ」
私はセカンドバックからハンカチを取り出して、頬から流れ落ちる涙をハンカチで拭き、バックミラーに写る自分の顔を見ながら、無理に笑顔を作りました。
約15分ほどで、病院の駐車場に着きました。
それから、救急病棟の受付窓口に向かいます。
そこには、警察官の方がお二人いらっしゃったので、私の名前を告げて和之さんの居所を聞こうと思いました。
「あの、すみません、わたし、岩下和之の妻の千鶴と申します、先ほど電話をかけて頂いた、緑ヶ丘署の橋本さんでしょうか?」
「いや、私でないが、ちょっと待ってくださいね、おーい、橋本!」
5メートルほど先のほうで、長いすに腰掛て男性と話をしている警察官の方が、こちらに振り向きました。
そして、椅子から立ち上がり私達の方へと歩み寄りました。
私は、頭を下げ会釈しました。
「奥さんですか?」
「はい、主人は今どちらに・・・」
「旦那さんは集中治療室にいます」

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(10)
私は集中治療室と聞いて涙がこみ上げて来ました。
「夫の容態はそれほど悪いのですか?」
「ここへに搬送されたときは心肺停止の状態だったと、先ほど看護師さんから聞きました」
「集中治療室はどちらですか?」
「この廊下の突き当りです」
私は警察官の方に会釈して、足早に集中治療室に向かいました。
警察官の方と話されていた男性が、長いすから立ち上がり、私に向かって腰を曲げ深々と頭を下げています。
私は、集中治療室の前で待っていると、看護師さんが私に気づきクリップボードを抱えて来られました。
「岩下さんのご家族の方ですか?」
「はい、妻です、夫の容態はどうなんでしょう」
「今、先生が蘇生処置を施しています、私のほうから幾つかお聞きしたい事がありますからよろしいですか」
「はい」
私は看護師さんから和之さんの事をいろいろ聞かれ、それを看護師さんは問診票に記入していました。
すべて書き終えると、看護士さんは、
「先生からお話されると思います、しばらくこちらで待機してください」
「はい、和之さんのご両親に電話したいのですが、こちらでかけてはいけないですね」
「携帯は病院内はすべて禁止してますから、外に出てかけて下さい」
「はい、わかりました」

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(11)
私は外に出て、岩下家に電話をしました。そして、お母様が電話に出られました。
「千鶴ですが今病院から電話してます、和之さんが・・・」
「また、あのバカ息子、今度はどこかい?、また、階段から転げ落ちて、腕でも折ったかい?、ちぃちゃんにいつも心配ばかりかけて申しわけないねぇ、私からもきつく言っておくからね」
私は言葉につまり返事が出来ません。
「どうしたの、ちぃちゃん」
「・・・」
「どこの病院だい?、お父ちゃんとすぐ行くから、どこだい?、緑ヶ丘病院かい?」
私が返事をしないため、お母様もただ事では無いと気が付かれた様子です。
「・・・はい」
「まってな、お父ちゃんといくから」
「はい、待ってます」
電話の奥からお父様を呼ぶお母様の大きな声が聞こえます。
「お父ちゃん、お父ちゃん、和之が怪我したらしいから、軽トラ、店の前にだしな」
そして、
「ちぃちゃん、店のシャッター下ろしたら、軽トラすっ飛ばしていくからね」
「はい、出来るだけ、早めに来て下さい」
私は携帯を切り、集中治療室へ戻りました。

続く・・・

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お詫び
「ちぃちゃん遊ぼう」が既に4000文字を越えてしまった。
ショートショートじゃないだろ・・・
まだ、あらすじの1/5ぐらいしか書けて無いのに、このままだと原稿用紙100枚は越えそう。
あらすじと技法にこだわり過ぎて、このまま書き続けると短編小説にもなりません。
自分の文章を纏め上げる能力のなさを痛感してしまった。
なので、ジャンルをショートショートから小説に変更します。

あ~、ジャンルの変更をしなきゃいけん。
ショートショートを期待された方、どうもすみません。
「ちぃちゃん遊ぼう」を完結してから、心してショートショートに取り組みます。
よろしくお願い致します。
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ちぃちゃん遊ぼう(12)
和之が気が付くと今度は川辺に立っていた。
川の流れは穏やかで対岸は濃霧で視界が悪い。
後ろをを振り向くうしろを振り向くとそこは野原になっているのだが、普通の景色ではなかった。
山も建物もなく平坦で遠くに地平線が見える。
和之は空を見上げると、雲ひとつなく青空というより淡い光に包まれてる感じであった。
「ここはどこだ、夢でも見てるのかなぁ、できればもっと素敵な夢であれば楽しめるのに」
と和之はぼやきながら川辺を下流の方へと歩き出した。
しばらく進むと渡し舟の渡船場らしきものが見えた。
「これまた風流な造りだなぁ、まるで江戸時代からあるような渡船場だよ」
和之は木造の渡船場をじっくり観察した。
「おっ、これはヒバじゃないか、金がかかってるなぁ、どこの自治体が金を出したんだ、こんなへんぴな所に豪勢なものを造って税金の無駄遣いだって、船頭さんに聞いてみようって、ところで船頭さんはどこにいるのだろう、あっそうだ、これは僕の夢だ、自治体なんかあるわけない、そうだ、そうだ、僕の夢だから船頭さん出て来いと念じてみよう」
しかし、和之がいくら念じても船頭なるものは一向に現れなかった。
和之は諦めて川面に目をやると、川の流れにゆらゆらと一艘の舟が漂っていた。
和之は柱にロープではなく縄で括りつけられた舟を引き寄せようと中腰になって力任せに引くがびくともしない。
「こんなに重い舟なんてあるのかよ」
その時「岩下和之さん」と呼ぶ声がした。
「はい!」
和之はびっくりして縄を手放し大声で返事をした後、直立不動になった。
そして恐る恐る振り返ると、そこにあの初老の男性が立っていた。

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(13)
「あなたでしたか、僕は船頭さんが出てきて怒られると思っちゃったよ」
和之は照れ笑いをしながら初老の男性に話した。それから続けて、
「あなたを追いかけたら、変な場所に移動しちゃったよ、公園でしょう、それとここ、ねぇねぇ、もしかして、あなたは宇宙人?、地球人の俺を拉致しようとしてるとか」
和之は目を輝かせて期待に胸を弾ませ初老の男性からの返事を待っている。
「うっうん、おほん、私は宇宙人じゃありません、天国から来た天使です」
と初老の男性は咳払いをしながら返事をした。
和之は天使だと聞いて腹を抱えながら大笑いをしている。
「おじさん、おじさん、真面目な顔して冗談はよしてくれよ」
「失敬な、冗談を言ってるつもりはありません、私は天使です」
「おいおい、おじさんが仮に天使だとしましょう、それじゃここは天国?、、僕は死んじゃったのかよ」
「はい、あなたは、天国の受付にいます」
「あはは、そんじゃここは三途の川なのか、仏教じゃ懸衣翁か奪衣婆でしょう、天使が船頭なんて、日本と西洋のごちゃ混ぜ、可笑しくて、可笑しくて、死んじゃいそう」
「・・・、ですから、あなたは死んだのです」
初老の男性は笑われながらも毅然とした態度で話し始めた。
「よくある事です、自分が死んだという事実を理解しようとしないため、天国のサービスの一環として死後の世界を生前思い描いたとおりのイメージで再現するようにしてます」
「へぇ~、天国もサービス業みたいなもんなんだ、お客さんに心地よく天国に来ていただくようになのか、そんじゃ、僕が別のことを考えればそれに景色が変わるんだね」
にこっと微笑みながら和之は瞼を閉じて、茅ヶ崎の海岸でグラビアアイドルの女の子達が水着で和之の周りを取り囲んでいる風景を思い浮かべた。
そして瞼を開けると、そこは茅ヶ崎の海岸に変わっていたが女の子達は居なかった。
「おじさん、じゃなかった、天使さん、女の子がいないよ」
「おほん、こちらは死者の方だけです、そんなことを思い描いても景色だけで人物までは出せません」
「なんだつまんねぇ、これじゃあサービス怠慢だろ」
和之はよっぽど期待していたようで、その期待を裏切った天使に毒を吐くのであった。

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(14)
これまでに和之を担当していた天使たちが、和之のことを「疫病神」とあだ名を付けたのがわかると天使は思った。
天使は和之が瞼を閉じてまた何かを思い浮かべている様子なので心の中をのぞいてみた。
天使は和之の心に描いてるイメージを見て、
「厄介な人だ、そんなことは無理でしょう」
と和之へのサービスは取りやめて事務手続きに最適な事務所の風景に切り替えた。
和之は鼻の下をのばしながら、片目だけを開けた。
「あれ、僕はこんなの思い浮かべてないよ、ここは僕の会社の事務所じゃないですかぁ~」
和之がいろいろ喚いてるのを無視して天使はこれまでの経緯を話し始めようと、
「これから今までのことをお話しますので席について下さい」と言った。
和之はしぶしぶ自分の机の椅子に腰掛けた。
「あなたは10歳で亡くなる運命だった、しかし、こちらの事務手続きのミスと、あなたの突飛な行動で生き永らえてしまいました」
和之はきょとんとした顔で聞いている。
「それから、あなたの生命力はゴキブリ並、いや失礼、並々ならぬもので、そのおかげであなたを担当した天使たちはすべて左遷されております」
「ゴキブリ並ってのは何だよ、天使の癖に礼儀ってのしらねぇなぁ」
「こちらでは皆、あなたのことを疫病神、いや失礼、トラブルメーカーとお呼びしてます」
「なんか聞いてるといけすかねぇ~」
和之はさっきのサービスの中止と自分のことを天使たちが快く思っていなかったことで不愉快であった。
しかし、和之は気転が早いと言うか、物事にこだわらない性格のため次のことを考え始めた。
「ふ~ん、左遷か、ねぇ、ねぇ、左遷ってどこに飛ばされるの?」
「どこって、決まってるじゃありませんか、地獄ですよ地獄、ここは天国と地獄しかありません」

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(15)
「やっぱり、地獄なんだ、天使さん、次は地獄に連れて行ってよ、けっこう楽しめるかも」
にたりとしながら和之は天使に地獄行きをせがんだ。
「あの、観光旅行ではありませんが・・・」
「だって、血の池地獄も見たいし、地獄の鬼も見たいし、迷惑かけた天使たちに一言お詫びもしたいしさぁ、いいでしょう、連れて行って、お願いしますよ」
天使は自分から地獄行きを望んだ死者を初めてまのあたりにしたので、少々戸惑い気味である。
「無理です、地獄は現世の話に出てくるようなところじゃないんです、汚れた魂を浄化するところですから、死者の皆さんが穏やかに過ごして頂くところです、それに鬼もいません、天使がいるんです」
「あれ、いいところなら、それじゃ、左遷じゃないでしょう」
「いえいえ、左遷は左遷です、仕事の量は膨大です、話を早くすると天使のほうが、地獄に行くと地獄の苦しみを味わいます、なぜかと言いますと、自己中心的な人や、ものすごく性格の悪い死者達が集まっているんです、その死者の方たちのお世話をしたり、慰めたり、浄化するにはどうすればいいかなんて悩みを聞いてあげたり、大変なんです」
「ほう、やっぱり、地獄の方がよさそうだね」
天使は拙いことを言ってしまったと後悔しはじめていた。そして、どうしてこの人のペースになってしまうのだろうと反省しながら、天国行きの話しを進めようとしている。

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(16)
「地獄もいいですけど、まず、天国を先に見学されてから地獄を見学するというのはどうでしょう」
天使は一度天国に連れて行きさえすれば後はなんとかなると考え、この場を打開する為に嘘をついた。
「おっ、その話しのった!」
和之は天国も地獄も両方見れると得した気分で了承した。
その言葉を待っていたかのように、天使は和之の前に承諾書を差し出しながら、
「この承諾書に名前を記入して下さい」
和之は差し出された承諾書を受け取る。

***********************
             承諾書
天長殿

名前      は天国において天長殿のあらゆる
ご指示に従う事をお約束いたします
***********************

和之はその承諾書を一瞥し、
「ねぇ、ここに書かれてる『天長殿』って誰の事ですか?」
「現世ではその方は仏様と呼ばれてます、天国で一番偉い方で、会社で言えば社長にあたります」
「へぇ~、そんじゃ、地獄の偉い人は?」
「閻長です、もちろん閻魔様のことです」
「おもしれぇ~、「てんちょう」さんに「えんちょう」さんなの、冗談でしょう」
和之は腹を抱えて笑い出した。
天使もやっぱり笑ったと思いながらも、
「冗談じゃないのです、ここなら笑っても許されますが、ご本人の前では決して笑わないで下さいね」
と天使も笑いを堪えながらそう言った。

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(17)
まだ笑い続けている和之に、天使はどこからとも無くペンを取り出し和之に手渡した。
「名前のあとの空欄に、岩下和之とご署名をお願いします」
「あはは、あっは、はい、ここですね」
和之が承諾書に名前を書いていると、ズンズンズンズン、ズンズンズンズン、ピンポン、パポンとメロディーが流れ出した。
天使が椅子にかけてあったコートから携帯電話を取り出して、声をおさえ誰かとやり取りをしている。
和之は聞いたこと無いメロディーなのでそのメロディーに興味がわき、名前を「岩下和」まで書いてペンを置いた。
和之はその着メロを教えてもらってから名前の続きを書こうと考えていた。
天使の電話の相手は天長(仏様)であった。
天使の顔が徐々に青ざめていき、そして誰もいない壁に向かってお辞儀をし携帯電話を切った。
「岩下和幸さん、大変なことになりました、急いで下界に戻って下さい」
「でも、まだ、名前、書いて無いよ」
「そんなことはどうでもいいです、まず、あなたが事故に遭った場所に戻しますから、奥さんに至急会って下さい、私もあとから追いかけます」
「わかったけど、その着メロをおしえ・・・・」
和之はまた意識が遠退いていった。

3章へ続く・・・

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章立て
このまま書いていこうかと思いましたが、
これだけ長くなってくると途中から読まれる方はいいけど、
日頃読まれてる方のことを考えると、
章立てしなくちゃ読みたいところにジャンプできないなぁと感じました。

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ちぃちゃん遊ぼう(18)
和之の意識が戻ると、駅前の横断歩道でした。
意識がまだはっきりしていない和之に向かって、ライトバンが突進してきます。
「うわっ」
叫び声をあげ、和之は避けることもできないままライトバンに轢かれたと思いましたが、体はライトバンをすり抜けて行きました。
「おおおお、なんともない、僕はスーパーマンになったんだ」
幽霊になったことを、まだ和之は気がついてない。相変らず自分の都合の良い方へと物事を考えている。
「さあ急いで、家に帰ろう、僕の大好きな千鶴が家で待っている、今日起きた不思議な事を話してあげよう」
和之は、いつもの帰り道を歩いていると、家の近くの交差点で千鶴の軽自動車が信号待ちで停車しているのを見つけた。
軽自動車の前で、和之は運転席に座る千鶴へ手を振るが、千鶴は和之を見ているとは思えなかった。
和之は運転席側の窓をたたこうとしたら、こぶしがすり抜けてしまった。
「すごいぞ、何でもすり抜ける体になったぞ」
と子供みたいにはしゃぎ、そのまま頭をいきおいよく窓へと突っ込む。
和之の体は千鶴をすり抜けて、助手席までとおりに抜けてしまった。
助手席に座ろうとするが、すり抜けてしまって座れない、和之は千鶴に話しかけようと千鶴の顔を見ると、滅多に泣かない千鶴の目から涙がこぼれていた。
「千鶴、どうしたんだ、なにがあった?」
千鶴は何も答えず、セカンドバックからハンカチを取り出して涙を拭いてる。
「泣いてちゃ駄目、きっと和之さんは元気でいてくれるわ、いつものように『千鶴、ごめん、また怪我しちゃった』と、無邪気な子供のようなあの笑顔で迎えてくれるわ」
「千鶴、僕はここにいるよ、聞こえないの?」

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(19)
千鶴に和之の声は届きません。
信号がやがて青に変わり、千鶴はアクセルペダルを踏み込み軽自動車を発進させました。
和之はその場に取り残され、呆然と立ち竦んでいた。
「僕は、あの天使が言ったように、死んでしまって、今は幽霊となってしまったんだ」
和之は、やっと、気がついたようです。
これからどこに行こうかと和之は悩んでいましたが、やはり自宅に帰り千鶴を待つことにしました。
和之は家路へとぼとぼとと歩き出しました。
自宅のマンションに着いたころは、すでにあたりは暗くなり、和之はマンションの2階を見上げました。
部屋の明かりがおちているのみると、落ち込んでいる和之をより落ち込ませてしまいます。
いつもなら、どんなに遅く帰っても部屋の明かりが消えていることはありませんでした。
和之はマンションの階段を上ろうとしますが、足がすり抜けて一段さえ上れません。
「どうしたら、いいんだ、部屋にも入れないや」
と和之はぼやきます。
和之は千鶴と二人で見た映画の主人公の幽霊のことを思い出しました。
「あの映画の幽霊は、すんなり階段を上ったり空を飛んだりしてたのに、なぜ、僕は階段さえ上れないんだろう」

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(20)
和之は階段の3段目あたりに腰掛けるつもりで腰を下ろしますが、階段をすりぬけ体の半分がコンクリートの階段に埋まったように見えます。
和之はふと足元を見ると、地面から数センチほど自分の体が浮いていることに気がつきました。
「おや、僕の体が浮いている、そうか、今まで歩いていると思っていたのは勘違いだったんだ、ずーと、実はただよって僕はここまで来たんだ、それじゃ、2階まで飛べるんじゃないかなぁ、やってみよう」
和之はあれほど落ち込んでいたはずなのに、そのことに気がつくといつもの笑顔で元気を取り戻した。
和之はその場でスーパーマンのごとく片腕を挙げもう片方の腕を腰の位置で曲げ、ジャンプを繰り返しますが、体は数センチも飛び上がれません。ただ、体が階段に埋まる一方でした。やがて、肩まで階段に埋まり首から上だけ階段に残っています。
(「やっぱり、あほや」作者の声)
和之は埋まった階段の中で腕組みをしながら、
「やっぱり、上手くいかないなぁ~、なぜ、だろう、体なんかふわっと浮かび上がって、二階なんかすぐに行けるはずなんだがなぁ~」
と考え込んでいます。
すると、和之の体が徐々に浮かび上がり2階の踊り場まできましたが、和之は首を傾げながらまだ考えています。

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(21)
しばらくして、和之は自分の体が踊り場から約50cmほど浮いてる事に気がついた
「おおおお、体が浮いてる、部屋まであと30mくらいだ、やっと帰れるぞ、うれしいなぁ」
和之は体を横に倒し相変わらず、片腕を頭の前に出しもう片方を腰の位置で曲げていました。
しかし、体は前には進みません。
「う~ん、やっぱり、この格好では飛べないらしい」
和之は、やっと気がついたようだ。
それから、和之は、空中で平泳ぎやクロール、バタフライ、はたまた背泳、犬かき、和之の知る限りの水泳種目を次から次へと披露し始めた。
「だめだ、ちっとも前に進まない、なにかいい方法は無いかなぁ」
和之は空中で横になったまま、頭を腕でささえ何も無い空間を指でとんとんと叩きながら考えはじめました。
「あっ、俺はこのマンションまで歩いてきたんだっけ」
和之は体を起して歩き始めるとすんなり部屋の前まで行けた。そして、マンションの横にある駐車場への緩やかなスロープを見て、
「うわっ、駐車場にまわれば、このスロープを上って歩いてこれたんだ・・・、今更気がついても遅いぞ、和之」
と和之は自分自身を諭した。
それから、和之は玄関の扉をすりぬけ部屋へ入った。部屋の中は真っ暗で、和之は照明のSWを押そうとするが押せない。
「こんな、真っ暗の部屋で、一人で待っていたら、幽霊そのものじゃないか、千鶴が驚いてしまう、どうしよう」

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(22)
私は集中治療室の廊下に備えてある長いすに腰かけて、お医者様が来るのを待っていました。
10分程すると、紺色のスクラブを着たお医者様が私の前へいらっしゃいました。
「奥さん、ご主人ですが、心肺蘇生の後、心機能は回復したのですが、呼吸不全のため人工呼吸器を使用しています、今夜もつかどうか・・・、出来る限りの処置はしているつもりです」
私はお医者様の声がだんだんと遠ざかるように聞こえます。
私は和之さんが死ぬ事なんて考えたくないのに、心の奥底から「ついにこの時が来た」と反響し、徐々に大きな声となって聞こえてきます。
「奥さん、大丈夫ですか、他のご家族の方を呼んで下さい、・・・わかりますか」
呆然としている私を、お医者様が私の肩を抱いて、長いすに腰かけさせてくれました。
そして、看護師の方を呼ばれることを私に告げて、お医者様はこの場から立ち去りました。
私の心の中で和之さんとの思い出が溢れ出てきます。

和之さんと初めて出会ったのは、私が高校一年の時サッカー部のマネージャーになった初日でした。
サッカー部の部室で先輩のマネージャーに、心構えとマネージャーの仕事のあれこれと説明を受けていました。その後ろで部員達が和之さんのことを話していました。
「監督は今日休みだ、楽できるぞ」
「バカ、今日は臨時コーチの岩下先輩だよ、あの50mダッシュだけのきつい練習だ、いやだなぁ」
「『伝説の突進』知ってるか、地区大会の準決勝のこと」
「あぁ聞いた、坂本先輩のカウンターアタックで岩下先輩がドリブルだけで決勝点決めた試合だろう」
「ディフェンダー二人を置き去りに、スイーパーとゴールキーパーをかわして、ゴールポストに頭から直撃して脳震盪をおこし担架で運ばれ、次の日の決勝は病院でなぜか生死をさまよっていた話だろ」
「そうそう、普通ならゴールキーパーかわした時点でシュートすればいいものを、そのままの勢いでゴールに向かって突進するなんてね」
「それから、止まる事を知らない『伝説の突進』なんて呼ばれてるもんな」
私はその話を聞いてそのコーチがとても気になりました。
グランドに出てみると、臨時コーチの和之さんがハーフウェーラインからゴールに向かってダッシュしていました。
部員達がくすくすと笑いながら、「また、やってるよ」と言ってました。
その時のがむしゃらに走っている和之さんを見て、なぜか私は好きになってしまったのです。

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(23)
その日から毎晩のように和之さんが私の夢の中に現れました。
それからまだ話しもした事の無い和之さんへの想いが募るようになりました。
私が大学生になって、私から和之さんに告白したとき、和之さんが「僕も前から好きだった」と言ってくれたのがとても嬉しかった。
和之さんは私をいつも楽しませてくれた。
*****へ新婚旅行にいったとき、あの占い師が不吉な予言をするまでは、ずーと二人で幸せにすごせると信じてた。
あの占い師が、
「貴女が妊娠したとき、ご主人はお亡くなりになります」
その事さえなければ、いつもいつも幸せでした。
その時でした、私は急に下腹部に重い痛みを感じました。とても我慢のできない痛みです。
「私の赤ちゃん・・・、うっ」
私は痛みに耐え切れず、お腹を抱えて長いすにうつ伏せてしまいました。
看護師の方が、あわてて私のところにかけより、
「奥さん大丈夫ですか、どうしました」と声をかけています。
「私の赤ちゃんが・・・」
「妊娠中ですか?、今すぐ産科の先生をお呼びますから・・・・」
私は激しい苦痛の中、お母様とお父様が入り口の廊下を駆け込んで私の方に向かってこられるのを見つけました。
お母様が、
「ちぃちゃん、どうしたんだい」
と大きな声で私に呼びかけています。
「赤ちゃんが・・・和幸和之さんの・・・」
私は応える事もできず、看護師さん達が私の体を搬送用のストレッチャーに乗せます。
それからの記憶はさだかではありません。

続く・・・

新婚旅行先を募集してます。詳しくはこちら「新婚旅行先を募集!」

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新婚旅行先を募集!
新婚旅行先を当初は国内にしようかと思ってましたが、今時国内も無いしなぁと悩んでしまいました。
それで、新婚旅行先をどこにするか決められません。

急遽、旅行先の募集をします。
だって、ここに来ている皆さんは、海外旅行通の人達ばかりですから(笑)

募集内容は、
【場所】海外で結構有名なところがいいかも
【季節】俺は夏がいいけど新婚旅行だし、新婚旅行シーズンにあわせたほうがいいかも
【占い】気軽に二人で占いができそうな街がいいかも

皆さんのご協力をお願いいたします。
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ちぃちゃん遊ぼう(24)
和之はリビングへ歩き出したというか、ふわふわと漂いながらドアを開けるそぶりをしながらドアをつき抜けていった。すると、ソファーの上に黒い人影が見えた。
「うわっ、幽霊」
和之は思わず叫んだ。
「岩下さん、私です」
「びっくりした、天使さんでしたか、てっきり幽霊が出たと思いましたよ」
幽霊が幽霊に驚いてどうするんだと、天使は和之の思考回路の不思議さに親しみを感じはじめていた。
「奥さんに会えましたか?」
「会えたことは会えたんだけどね、千鶴に話しかけても、僕が見えないし声も聞こえないみたいなんだよ」
「それでは奥さんは病院ですか・・・・、困りましたね」
「どうかしたの?」
「言いにくいことなんですが、正直に言いますと、あなたを担当していた天使が地獄から逃亡しまして、もしかすると岩下さんに復讐を企てているのではないかという情報が入りました」
あいも変わらず、和之はきょとんとした顔で、
「天使が僕に復讐?」
「はい、そうです、あなたにです」
「なぜ、僕に復讐するの?」
「その天使はエリート街道を突き進んでいたはずが、あなたを担当したせいで地獄に左遷されたと逆恨みしているようです、それであなたを殺そうと時期を窺い狙っていたのですが、私のほうが先にあなたを事故死にしたため、怒りの矛先をあなたの奥さんとお子さんに向けたようです」
「えっ、それって、天使じゃなく死神でしょう」
「死神なんていません、すべて天使が行います」
「なんだって、天使と死神は一緒で、しかも地獄の鬼もやってて、天使の仕事もたいへんだなぁ」
天使はそんなところを納得されても困るのだがと思いながら、復讐される当事者である和之自身の心配をしないで、天使たちのことを気遣う人柄に、ますます親しみが増していった。
「そういえば、私の自己紹介がまだでしたね、名前は並木と申します、あなたを担当して4ヶ月になります、岩下さんはうわさで聞いていた程でもなく、私の計画通りあっさり事故死してくれたので助かりました」
和之は、天使の並木に向かって頭を下げながら、
「初めまして、並木さん、よろしく・・・・ん?、なに?、計画?、事故死?、それじゃ、あれは並木さんが仕組んだ事なの?」
「はい、そうですよ」
「嘘でしょう、いや、違うはずだ」

続く・・・

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改名
突然ですが、「楊」から「らいやん」に改名します。

こちらのブログで知合った方はご存じないでしょうが、
俺はもうひとつのブログをもっていまして、そこでの名前が「らいやん」です。
二つの名前を使いこなすのが、面倒になったんで「らいやん」ひとつにします。
俺の我侭で、常連の方々にはご迷惑をおかけしました。
ありがとうございます。

これからは、気軽にらいやんと呼んで下さい。
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ちぃちゃん遊ぼう(25)
「私はあなたの行動を3ヶ月ほど観察してきました、そして、天使が得意とするささやき作戦や幻覚では、失敗するおそれがあると分析しました、そこで、私は1ヶ月間計画を練って、あなた自身が望んで行なう行動で罠を仕掛ける事にしました、それは成功しかけた前例も参考にしました」
「なんか、難しすぎてよくわかんないや、僕は並木さんの事を好きになりかけているのに、なぜ、僕を交通事故死にしたの?」
天使の並木は、真面目な顔で話しを続けます。
「それは、あなたが10歳で死ぬ予定でしたが今日まで生き延びてきたためです、人の寿命には限りがあり、私達天使は必要な命をいつでも新鮮な状態で、現世に供給しなければいけないからです、あなたにも次の予定があります、あなたの分が足りなくなると、世界中が困るのです」
「僕一人の分でも困るの?」
「そうです、命一つ一つに役割があります、どれか一つが欠けても、世界は成り立たないのです」
「そんなことは無いでしょう、だって命の在庫みたいなのはあるでしょう?」
「順番があって、待たせることはありますが、代わりにする事なんてできません、一つ一つが大切なものなんです」
「納得いかないけど、並木さんがそこまで言うならしかたないや、これから僕はどうすればいいの?」
「私と一緒に、現世で言う『悪魔』に成り下がった天使を見つけて、その天使が奪おうとしているあなたの奥さんとお子さんの命を救う事です」
「お子さん?、僕と千鶴にはまだ子供はいないよ」
「いいえ、あなたの奥さんのお腹にはあなたのお子さんがいますよ」
「え~、それじゃ、僕は父親になったんだ、でも・・・、僕は死んじゃったし・・・」

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(26)
「どうしたんですか、いつものあなたらしくないですね、へこんでる場合じゃありません!」
「だって、幽霊じゃ千鶴に話すこともできないし、ほら、この部屋の照明だって付けることもできない」
和之は意気消沈し、青白い顔がどんどん暗くなり幽霊らしさをまして行く。
そんな和之に、天使の並木は口からでまかせ、嘘八百、嘘も方便、嘘つきは天使の始まりのノリで和之を励ました。
「岩下さん、幽霊だからこそできる事がいっぱいあるのですよ、今だって空中に漂ってるじゃないですか、それに訓練しだいでは自動車の一つや二つくらい軽々と持ち上げる事ができるし、空だって自由に飛べるし、敵を倒すライダーキック・・・、いささか古すぎますか、今時はなんて言うのかわかりませんが必殺技なんかもできるんですよ」
和之は必殺技のフレーズに反応したようだ。
「僕に必殺技ができるの?」
「はい、訓練すればなんだってできます」
和之の顔は、幽霊らしからぬ、赤みを帯びて、まなこから炎が噴出さんばかりである。
「並木さん、いや、師匠、早速、訓練をやろうよ、僕があみ出した必殺技で、悪者をびしばしやっつけてやる」
天使の並木は、奥さんとお子さんを救うという主旨からはずれているが、元の能天気な和之に戻ったので、これでもいいとした。
「岩下さん、師匠はよしてください、並木でお願いします、それと訓練はこれから行なうとして、まず手始めに、私と病院へ行きましょう」

続く・・・

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ちぃちゃん遊ぼう(27)
「どこの病院ですか?」
「緑ヶ丘総合病院です」
「いつもお世話になってるとこだ、結婚するまで毎年一回は外科病棟に入院してたんだよ、そのたんびに、おかぁちゃんにどやされるけど、千鶴がいつも看病に来てくれたから楽しかった」
「毎回、生死の境を彷徨う程の怪我だったはずなのに、楽しかったんですか・・・」
天使の並木はあきれ果てた。
「よく知ってますね、おかぁちゃんがよく言ってた、『お前はそそっかしいからこんな目にあうんだ』って」
「いや、それは違います、今までの怪我はすべて前任者が仕組んだ事です」
「へぇ~、それじゃ、ゴールポストに直撃して脳震盪おこした事も、雪崩に巻き込まれ凍傷になりかけた事も、ダイビングで溺死しかけた事も、屋根から転げ落ちた事も、電車にバックがはさまれてホームの端まで引きずられガードフェンスに股間を直撃したのも、う~ん、あれが一番、痛かった」
「最後だけは違いますが、そうです」
「ゆるせねぇ、そいつに仕返ししてやる、あの股間の痛みだけは我慢ができなかった、絶対そいつにも味あわせてやる」
天使の並木は人の話しを聞かない和之に呆れたが、やる気を起こしてくれたのでそのまま否定せずにいた。
「さぁ、奥さんとお子さんを救いに行きましょう、私の手を握ってください」
「よっしゃ、まかせとけって、そいつの首根っこ押さえて、股間を思いっきり蹴り上げてやる」
和之は天使の並木が差し出した右手を握り締めたが、
「ちょっと、タンマ、男が二人で手を握るのは、すこし気恥ずかしい」
そんなことを言ってる和之にはおかまいなしに、天使の並木は病院へとテレポートした。

4章へ続く・・・

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これまでのあらすじ
3章までのあらすじ

和之は初老の男性を追いかけて、交通事故に遭ってしまう。
幽霊になってしまった和之は、天使であったその初老の男性、並木と共に、
妻の千鶴(ちぃちゃん)と、お腹の中の子供の命を救うために、
地獄から逃亡した天使を探すことになる。

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ちぃちゃん遊ぼう(28)
緑ヶ丘総合病院の正面玄関に、二人は立っている。
玄関入り口にガードマンが立っていたので、和之はあわてて並木と繋いでいた左手を離した。
それから二人で病院内へ向かって歩き出した。
正面玄関から受付ロビーに向かう途中で、風変わりな一団に出会う。
小さな子供が先頭に立って歩き、右手には真っ赤な旗を持ち、その後ろから、青白い顔したご老人達が約20名ほど、その中には一人だけ、結構可愛い顔した20代くらいのお嬢さんがいる。
小さな小学生くらいの子供が並木にきちんと会釈してから、
「はい、皆さん次は東京タワーに行きます」と言った。
まるで、観光旅行の団体客である。
和之はなぜこんな病院に観光旅行客が来るのか、なぜ子供が引率しているのか疑問に思っていた。
「並木さん、その子と知り合いですか?」
「はい、以前に私の部下をしてました、今は下界観光のツアーコンダクターをしてます」
「天使ってそんなこともやるの?」
「はい、天国と言っても何にもありませんからね、多少の娯楽がないと皆さん暇をもてあましてしまいます」
「うーん、地獄にいる人達も下界にくるの?」
「いいえ、地獄にいらっしゃる方たちは、娯楽より瞑想を行なって無の境地を知り、悟りを開いていただきます、そして仏への道を目指される方もいますよ」
「どこが天国で地獄なのか、僕、訳わかんなくなっちゃった」
和之は左手で顔を被いながら、今までの天国と地獄のイメージを思い浮かべている。
「そんなこと、気にしないで3階の産婦人科病棟へ行きましょう」
と並木はエレベータホールへと歩き出した。

続く・・・

作者からの読者へ

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本文に書けなかった事
なぜ、子供がツアーコンダクタをするのか?
和之は疑問に思った。
そして、並木が答える。

1、天使の人員が足りなくて子供の手も借りたい
2、下界ツアーの申し込みは老人が殆どだから孫くらいのほうがいい
3、ああ見えても、天使歴150年のベテランなので

さて、どちらでしょう。(笑)

下界ツアーや天国の様々なイベントを書きたいのですが、天使の並木シリーズを考えてるので、その時にチョコチョコ出します。(笑)
ちなみに、作者は仏教徒ではありません。
こう見えても、バプテストなんですよ。(笑)

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ちぃちゃん遊ぼう(29)
「ちょっと、待ってください」
そう言いながら和之は並木のあとを追いかけた。
エレベータホールについて、並木はエレベータの階上ボタンを押下した。
それを見ていた和之は、
「並木さんはボタンを押せるんだね、どうやったら物に触れたり押せるようになるの?」
「集中力を高めればできるようになります、あなたも訓練しだいでできます」
並木は和之の性格では当分無理な気がしたが、正直に話して傷つかれ拗ねられるのも困ると思いそう言った。
そして、エレベータの扉が開き、並木は乗り込むが、和之はボタンを押そうと何度も繰り返している。
「岩下さん、早く乗ってください」
和之は扉が開いていることに気がつきあわてて乗り込んだ。
そして扉が閉まり、エレベータのかごが上昇する。
並木はふと隣をみると和之がいなかった。
「困った人だ、エレベータにも乗れないようですね」
並木はエレベータの床をすり抜けて階下へ下りていくと、昇降路の空間に一人浮かんでいる。和之の体はかごをすり抜け置いてけぼりにされたようである。
並木は和之の側まで下りて、エレベータの乗り方をアドバイスした。


和之と並木は3階のナースステーションで、千鶴の病室を確認しその病室へと向かう。
病室にはドアを開けずそのままするりとすり抜けて二人は入った。
個室になっていて、千鶴が白いカバーシーツをかぶせられベットの上で横たわっていた。
そのベットの側で椅子に腰掛け心配そうな面持ちで、和之の母である岩下小百合がいた。
和之はすぐさま千鶴が寝ているベットにかけより、
「千鶴、どうしたの、なにがあったの」
と声をかけた。
「和之、あんたこそ大丈夫か、もう歩けるようになったんかい」
小百合は和之に向かって話しかけた。
「おかぁちゃん、俺が見えるんかい」
「あたりまえだろ!、何馬鹿なこと言ってんだい!、お父ちゃんはどうした!、あんたの付き添いをしてたはずなのに、また、あんたをほっぽって、競馬新聞眺めてるんかい!」
小百合はけたたましい声で、はるかかなたのナースステーションまで聞こえるような大声を出した。

続く・・・

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これまでの登場人物
岩下和之:主人公
能天気なアホです。
ハイプレッシャーさんが作者に似てるといっている。
(作者:絶対に違います)

岩下千鶴:和之の妻
真面目でしっかり者、しかも美人です。愛称はちぃちゃん。
こんな人がなぜ和之に惚れたのか、謎である。
本編が進むにつれ、その謎が明らかになるでしょう。
(作者:モデルはネットで知り合った人で、むふふ、そう、これ読んでる貴女です)

岩下小百合:和之の母
アホな主人公を世に出した張本人。
とにかく声がでかい、もんじゃ焼き屋のおかみさん。

岩下勘三郎:和之の父
暇さえあれば競馬新聞を広げ、仕入れに行くといって馬券を買いに行く競馬好き。
もんじゃ焼き屋の店主。

並木:天国から来た天使
沈着冷静、誰の手に負えない仕事でもきっちりこなす。
天国の供養課課長。
作者自身をモデルにしてると嘯いてます。

杉山智子:緑ヶ丘総合病院の看護師
和之とは幼なじみらしい。
(作者:モデルはネットで知合ったアクアさんで、このことは本人も知らない)

たぶん悪役(?)の天使:地獄から来た天使
まだ出てないやろ!
(作者:すんません)
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