木漏れ陽の中に
のんびり木陰で読書ができればそれだけで幸せです
1章 プロローグ
1章 プロローグ

ちぃちゃん、そのお人形可愛いね

おばあちゃんにいただいたの

いつもちぃちゃんのおそばにいるの

いつもおねんねしてるの

いつもおはなししてあげるの

ちぃちゃんはママなんだよ

私は、うたた寝をしていたようです。
幼い頃に見知らぬ人にあの頃私がいつも抱いてた人形の事について聞かれた事の夢でした。

日は沈み部屋は薄暗くなっていました。
私はリビングのソファーから立ち上がり、ドアの入り口にある照明のスイッチをONにする。
壁にかけてある時計が、5時45分をさしている。
「もう、こんな時間だわ、急いで夕食の準備をしなくちゃ」
私は独り言をつぶやきながらキッチンへと向かう。

冷蔵庫の扉を開けて、今日の献立を思い浮かべながら、整然と並んでいるタッパーの中から「パスタ」とシールに書かれているものを取り出した。
タッパーのふたを開けると咽返る匂いで吐き気を感じ、私は急いでシンクへ顔を埋める。
「私、どうしたのかしら、風邪でもひいたのかしら、それとも何か悪いものでもたべたのかなぁ」
お昼に食べたものを思い出していたのだけど、それらしいものは無い。
「もしかして・・・」
私は二ヶ月ほど生理が遅れていた。
妊娠検査薬は準備していたのだけど、検査する事にためらいがあり、明日には、明日にはと先送りにしていました。
夫は子供を授かる事をいつも待ち望んでいました。
でも、私は母親になる事が不安です。

引き出しの中から妊娠検査薬を取り出しトイレに向かう。
検査の結果がでるまでの数分間は、出来ることなら妊娠してない事を願ってました。
結果はやはり妊娠しています。
私はリビングのレースのカーテンを開けて、窓の外に思いを巡らし夫へ告げる言葉を探します。
「和之さんは喜ぶだろうなぁ、きっと、お母様へ電話されるでしょう」
窓には、夕闇が訪れ、家々に明かりが灯り始めます。
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